補綴治療の目標

mumemo672004-10-29

 知り合いの先生にスカンジナビアの補綴入門書(翻訳)を借りて読ませてもらいましたが興味深いものでした。「欠損は補綴するな!」という感じなんです。我々は歯が喪失したら、いかに補綴するかを直感的に考えます(そう教育されました)。補綴治療は対症療法であり、補綴することで咬合に弊害を惹起する可能性も多いにあると書いてあるのです。最近話題の「短縮歯列」(ヨーロッパではスタンダード)も同じ考え方だと思います。日本では片側6,7欠損も間接支台装置を使って義歯を装着しするのが主流でした。欧米人とは骨格的にも、歯のサイズも違うので、すべて短縮歯列で良いとは言えないと思うし、咀嚼、嚥下機能の向上などの理由からも日本人では、積極的な補綴治療も必要だと思いますが、症例によっては積極的な経過観察による「短縮歯列」もありなのだと思います。自分は咬合三角や欠損パターン(咬合崩壊のシナリオ)などを通して、やっと将来的な咬合維持を考える概念が芽生えてきたところです。その時点の主訴改善にとどまらず、患者さんの健康維持、増進に寄与できるように、将来を見据えた真の歯科治療ができるように、自信を持って治療をしていきたいですね。
 中身を読んでいないので分かりませんが、最近出版された「予防補綴のすすめ」という本も、タイトルから推測するとそんなことが書いてあるのでしょうか?